憂いの天使「アルタミラ編」17
ブルー過去のエピソード
ウィリアム・ハーレイには分かっていた。
しかし、この施設内にもマザーや先ほどあった博士の力を感じていた。
そのため、マッシュ・ボガードの正体を知られる訳にもいかない。
先ほど会ったドクター・ソレンセンをハーレイは忘れもしない。
姿形が違っても力(潜在能力)や気配は消せはしないのだ。
冥界王ハデス・・・天界を破壊した者。
またの名を・・・ライテと呼ぶが・・・・・
ソレンセンと名乗り・・・・
こんな所で人間に化けていたとはな。
「君には・・・私の助手となって働いてもらいたい。宜しく頼む・・ウィリアム君」
「はい、勿論です・・・マッシュ先生」
そんな挨拶をしているとブルーが現れた。
ブルーはマッシュに近づくとキスをした。
「・・・・・ねえ・・・抱いて・・・」
「どうした・・・ブルー君・・・」
「そんな他人行儀なことを言わないで・・・・」
ハーレイの目の前でブルーはマッシュに抱きついたのだ。
「人が・・・・見ている」
「・・・分かっている。でも・・・僕は・・・貴方が・・・・貴方に抱いてほしい・・・」
「君は・・・自分のことも分かっていない。そんな君を抱く訳にはいかない」
「どうして・・・どうしてそうなの?先生のバカーー!!」
ブルーは二人の前から去った。
(此処で敵の思惑に乗せられる訳にもいかない。
分かってくれ!・・・ブルー・・・・)
そんなシンの真意をハーレイは分かっていた。
ハーレイもまた、己の正体が知れるのはまずい。
(シン様、貴方のお気持ちは痛いほど分かります・・・・)
(ムゲン・・・・此処では無闇に思念を送るのは止めたほうがいい。
あの男に知られてしまうぞ)
シンのテレパシーでハーレイは辺りを見回した。
(・・・・大丈夫ですが・・・・・)
(今は・・な。だが・・・・)
(何故、連絡をしてくださらないのです?・・・・大神様が心配しておりました)
(すまない。まさか・・・あんな形で不覚を取るとは思わなかった・・・・)
ハーレイの脳裏に浮かび上がる光景・・・・
それはソレンセンがマッシュをシンと思い暴行する場面であった。
(結果がどうであれ・・・・私は・・・人間として敵の手の内に捕らわれてしまった)
ソレンセンとして彼は野望を果たそうとするだろう。
何としてもブルーだけはこんな場所から解放させたい。
それだけを思う。
私は・・ただ、ブルーには幸せになってほしいのだ。
そのためには自分の命もいらない・・・・
神々の世だった頃からそれを願った。
しかし・・・・善なる神が破れて天界は滅んだ。
大いなる神であった二柱の神は一人が封印されてしまった。
生き残ったのは宇宙を司る神と太陽神と僅かの神々だった。
悪なる神は破壊神を使い、マザーシステムを作り上げた。
人間を意のままに操るために・・・・・
人間に必要なのは自由ではない。
全てを制限して自由を奪ってしまった。
マザーの奴隷とするための物。
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「あたしゃ・・嫌だよ・・こんな所に無理矢理連れて来てさあ・・・」
急にアルタミラの施設が騒がしくなった。
新しく数名のシスターが連れて来られたのだ。
「冗談じゃないよ!信仰の自由くらいはあっても可笑しくないのか?」
はっきりと物怖じしない性格のシスターが兵士を一喝する。
「ククク・・これはまた面白い人がいるのですね・・」
「・・・あんたが責任者かい?」
ソレンセンの前でも物怖じしない女性が睨みつけた。
「こんな所に来た女どもでも脅威に感じて可笑しくなるのだが・・・お前は違うのか・・」
「フン・・・可笑しいのはあんたたちだろう?こんなか弱い彼女らを
連れてきて一体、どんな実験台にするつもりか?」
「ほう・・・貴様は・・ただのネズミではなさそうだが・・」
「だったら・・・どうする・・・つもりだい?」
そんなやり取りをブルーは見ていた。
(あれは・・・・・)
「ブラウ・・・・か?」
「え・・・何だって・・・・」
ハーレイのほうが話しかけた。
天界では老師と呼ばれた彼女もまたこの地に来たのか。
アルタミラに引き寄せられた神々や天人たちはミュウとして処刑される。
何としても救いたい・・・・・・
ブルーはそう思った。
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2011/07/22
やっとブラウさんの登場・・・
しかし・・・
今回からはSSで書きます。
時間がなかったので漫画を止めました。
すみません