REX 2

その日、ブルーは新たな相棒と家に戻ってきた。
ブルーの家は元々資産家の家庭で育ったのである。
この家のことはレックスは知っていた。
時折、キースと訪れるとブルーの近くにいて
横たわって眠るのが習慣である。
ブルーもそんなレックスに対し笑顔で好物の
ハム入りバーガーを与えていたのだ。


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真夜中まで明かりがついている。
ブルーは一人で酒を飲んでいた。
それも酔っている

「レックス・・・・あれを持ってきて〜」
「ワウ・・・ウウ・・・」

レックスは困っていた。
酔うと酒癖が悪くなる今の飼い主には何としても
酒を止めさせたかった。
理由は昔から酒癖が悪いのだといつもキースから
聞かされていたからである。
今の飼い主は見かけが若くも見えるが
実は37歳なのだ。
その割には時折少女に見えるから何としても守りたかった。
いつもはフィシスがいたから安心をしていたのだが
そのフィシスは今はいない。
それでキースは自分の代わりにレックスを寄越した。
「お前の力でブルーを守れ」と・・・


「クーン・・・・・・」
「レックス・・・・ろうしたんだ?酒はまだ〜?」
「ワウウウ・・・・・」
「はやくう〜・・・」


急に後ろから手が伸びてきて飲みかけのグラスを奪う。

「こんなに飲んでどうするんですか!」
「なんらと・・・?」
「ブルー・・・」
「られら?ちみは・・・・」

後ろを振り返りびっくりする。
其処には見慣れない金髪で緑色の瞳をした美青年が立っていた。
美青年は裸ではなくきちっと服を着ていた。
それもまるで料理人のような服装だが・・・

「ちみは・・・だれ?」
「・・・あなたのレックスですよ」
「うそら・・・・そんなのうそら・・・」


酔っているためにろれつが回らないブルー。


「もう・・・お忘れですか?あなたの夢まで出てきてやったのに・・・」
「うそ・・・・そんなのうそらあー!!」

ぐるぐるとした頭で思い出そうとするのだが・・・
どうしても思い出すこともできない。

「あなたの貞操は僕の物ですよブルー・・・・」
「え・・・・・?」
「あなたの処女は僕がすでに頂きましたが・・それもあなたの貞操を
守るために印をつけました・・・」

うそだーーーーーー

「嘘ではありません。あなたの夢として残してあげたのですが・・・
覚えていませんか?ブルー・・・」

思い出せない・・・・
そんな馬鹿な・・・・・

大体、こんなイケメンなんて僕は知らない。
如何してこんなイケメンに好かれるのか?
訳が分からない・・・・・・
レックスが人間で超イケメン男だって?

やっと正気に戻るブルーは気分が悪くなってきた。

「気持ち・・・悪い・・・・」
「大丈夫ですか・・・吐きそうですか?」

近づく金髪の美青年についうっとりとするのだが
はっとして引き下がる。

「寄るな・・・変態!!」
「ひどいなぁ・・・これでもあなたのレックスですが」
「だったら・・・今すぐにでも犬に戻れ・・・・変態男・・・」

しかし酔いの回る体のためかまだ回復していないので
すぐに眩暈を起こす。

「ううう・・・・」
「仕方がありません・・・失礼します」

レックスと名乗った金髪男はブルーを姫抱っこしてベットに運ぶ。




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やっとのことベットの中で眠る麗人にほっとする。
あれだけ腕の中でも暴れるので宥めるのに必死だった。
今は薬を飲ませているので吐き気はないが・・・


「ブルー・・・」

正直に言っても聞いてくれそうにありませんね。
僕はレックスですよ。
だけど・・・・
本当にあなたが僕を求めたのは事実です。



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まだ夜明け前だと言うのに目が覚めたブルーは
側に誰かいるのに気づいた。

貴方だ・・・
僕が望んでいた金髪の人・・・・・

「ずっと、僕の側にいてくれた・・・」
「ええ・・」
「やっと貴方に逢えた」
「ブルー・・・?」
「お願いだ・・・僕を・・・」
「・・・・・」
「僕の側にいてください」

「ブルー・・・・・」

ブルーは金髪の美青年に抱きついた。

あなたは・・夢の中だと思っているのですか?
まあ、いい・・・・
それでも僕はあなたを欲している。
犬を利用してあなたに近づいた悪い男ですよ。
あなたの夢と称して・・・・

多分、あなたには理想の男に見えたのでしょうか。

そんな僕は・・・・・・・

「あなたの名前を教えてください・・・・」
「ジョミー・・・だ。」
「ジョミーですか?」
「僕は・・・・ジョミー・マーキス・シン」

「このままでいてください・・・・僕には貴方が必要です。
妹を失って・・・・・・僕は・・・・・」
「ブルー・・・・・」

あなたの唇は柔らかい・・・・

こんな危ない人を放っておけるか。

僕は悪い男です。
またあなたを奪いそうで・・・・・
それでもいいですか?






REX-3へ続く〜




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2010/06/28UP


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